梓と檀


まゆみ
マユミ
キササゲ
キササゲ
「御酒を勧めて盃を。とりどりなれや梓弓。弥猛後ごろの一つなる。」(羅生門より)

梓弓真弓と言う言葉を古文の教科書で見てからずっと、マユミは弓に使われた木と思っても、アヅサは単なる弓のまくらことば、何の意味もないと思い込んでいたのですが、先日ふと開いた古語辞典で梓弓はアヅサの木で作った弓という説明を見て、始めて梓にも意味があったのだと知りました。

さて、そうするとアヅサってどんな木なのだろうという疑問がわいて来ました。まゆみのように昔から今までその名で伝わっているなら簡単ですが、梓ははっきりこれと知られた木がありません。一冊の本はミズメ、オノオレカンバ、キササゲ、アカメガシワの四種を候補に挙げています。檀(真弓)の木は新芽がすーと真直ぐ長く伸びていかにも真すっぐな弓に適した材がとれそうな感じがします。アカメガシワも新芽がすーと伸びてすぐに大きくなっていくところが似た感じで、なるほどと思いました。

ところが、さらに他の本を調べてみると、ミズメが、アヅサである可能性が一番高いようなのです。アカメガシワは古名ヒサギ、キササゲは中国名では、梓ですが、弓材に適さず、オノオレカンバは弓材に硬すぎるのだそうです。ミズメ又の名ヨグソミネバリは信州方言でアズサと呼ばれているのだそうです。また、昔この木で弓を作って、飛騨や信州から朝廷に献上していたという記録もあるようです。これらの木は、花穂が群がりさがるつまり厚房のように成ることからアツフサと呼ばれ、それが転じてアヅサと呼ばれ、梓がどれかわからなくなったようです。

ところで、今の和弓は、見たところ竹で出来ています。日本の弓というのは、もともとは洋弓のように木で出来ていたものがいつごろから竹に変わったのだろうか?という疑問もわいてきました。まず本屋で立ち読みしたところでは、和弓は竹と竹の間に木が挟まった、合板作りのようです。弓の流儀が出来始めた鎌倉時代には、既に竹と竹の間に一枚の木の板が挟まっていたようです。

その前は?という事で、百科事典登場。一本の木で作られる弓が丸木弓、木と竹や、角の薄片、腱など様々なものと張り合わせて作られているのが合成弓だそうです。日本では石器時代末期には、両方とも使われ、その後丸木弓が主に使われたが、平安末期から再び今と同じような合成弓が盛んに使われるように成ったという解説が事典には載っていました。なるほどなるほどと納得したところで、今度信州へ行く機会があったら、今の名ミズメ、又はヨグソミネバリなる梓を見て来ることにしましょう。


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