「梅花に縁無きことを歎き」というのは、「胡蝶」の一節だが、私の記憶では、蝶は梅花にもやって来る。
というわけで、あちこち本を探し回ったけれど見つからない。私は、小学校三年生ぐらいまでは、蝶やトンボを追い掛けて標本作りをしていた。ところが、ある時、学校で、オーバーヘッドプロジェクターの付いた顕微鏡で蝶の鱗片をみせて貰ってから、蝶のそばに寄るのが苦手になってしまい、自分で蝶をしっかり観察していない。それで、資料が欲しいと探していたら、3月7日の日本経済新聞の夕刊に、冬越しする蝶の話がのっていた。
蝶には、卵で越冬するもの、サナギでするもの、成虫でするものがあるが、梅の時期に姿を見ることの出来る蝶は、成虫で越冬するものである。元上野動物園長矢島稔氏の新聞記事では、「柔らかい日差しと梅の香りが春を感じさせる--。そんなころ、テングチョウはどこからともなく姿を表す。」と書かれている。また「キブシやウメの花の蜜を吸い...」ともあるので、間違いなく、蝶はウメの花と縁があるようだ。
この記事に力を得て、私の記憶では、シジミ蝶も越冬するはずと、図鑑をいろいろ調べたところ、ムラサキシジミが梅の花にも訪れるということだった。
また、「胡蝶」には、「野花黄蝶春風を領し」とキチョウの名がでてくる。このキチョウ(ヤマキチョウ、スジボソヤマキチョウ、キチョウ、ツマグロキチョウ)も成虫で越冬するので、「野花黄蝶春風を領し」というのは、梅と限定しなければ、良く観察しているひとには、現実に見る事ができる景色のようだ。