八重葎


カナムグラカナムグラ
「やえむぐら 茂れる宿の さびしさに ひとこそみえね 秋は来にけり」
                     拾遺集秋 恵慶

という歌からとられた紅葉狩の一節から、八重葎が気になり、植物図鑑で調べてみた。現在、ヤエムグラといわれる植物は、アカネ科の植物だが、古歌に謡われているヤエムグラは今のカナムグラ(クワ科)だろうといわれている。カナムグラなら子供の頃、林や畑のまわりに良く生えていたから、思い出してみればなるほど、あんなツタに絡まれた家は、人も住んでいないようなところだろう、さぞかし寂しいことだらう。とは思ったものの、考えてみるとこの頃カナムグラを見た覚えがない。それでそこ此処を歩くときに気をつけてみてみたが、あそこならと思うところには葛が生えていたり、ヘクソカズラやヤブガラシが絡んでいたり、やっと見つけたと思ったら虫に喰われて穴だらけの葉で、細々と生きている風情。葛を刈らなくなったり、森林の手入れをしなくなったり、道も舗装されてしまったりと、昔、優勢だった植物も住み難くなってしまったのかもしれない。カナムグラより勢力を誇っているヘクソカズラやヤブガラシは外来の植物かしらと思ったら、

「ふじのきに はいおおどれる くそかずら 絶ゆることなく 宮仕えせむ」
                              高宮王

という歌が万葉集にあるくらいで、ヤエムグラと同じく古い植物のようだ。


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